ナイアシンとメンタルヘルス
ナイアシンとは?その働きや摂取のポイントを知ろう
ナイアシンは水溶性のビタミンで、ビタミンB群の一種です。エネルギー産生や代謝、DNAの修復や合成など、体内で様々な働きをしてくれる栄養素です。また、メンタルにも大きな影響を及ぼす栄養素でもあります。
ナイアシンの働き
ナイアシンは動物性食品中ではニコチンアミド、植物性食品中ではニコチン酸として存在し、いずれも小腸で吸収されます。また、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから合成することができます。
ナイアシンは500種以上の酵素の補酵素として、以下のような機能に関わっています。
神経伝達物質の一つで精神を安定させるといわれているセロトニンは、ナイアシンと同じ必須アミノ酸のトリプトファンから生成されます。トリプトファンはナイアシンの生成に優先して使われてしまうため、ナイアシンが不足するとセロトニンが生成されなくなってしまいます。心の健康を保つためにも、ナイアシンの摂取が重要です。
ナイアシンを多く含む食品
ナイアシンは多くの食材に含まれますが、特に魚、レバー、肉に豊富に含まれます。熱に強いので加熱調理してもほとんど壊れません。一方、水には溶け出しやすいので煮汁ごと食べられる調理がおすすめです。
ナイアシンを多く含む食品は以下の通りです。
食品名 | 100gあたりのナイアシン含量(mgNE) |
---|---|
カツオ | 19.0 |
マグロ | 18.0 |
たらこ | 17.0 |
豚レバー | 16.0 |
牛レバー | 15.0 |
鶏ささみ | 14.0 |
落花生 | 13.0 |
ナイアシンの摂取量
ナイアシンは1日あたりの推奨量が定められています。生まれた直後はあまり必要ありませんが、歳を重ねるにつれ、徐々に推奨量が増えていきます。
男性の場合は15歳から17歳までが一番必要で、1日あたり16mgNE摂取するのが理想的です。一方、女性の場合は12~17歳までが一番摂取を必要とする時期で、1日あたり13mgNE摂るようにします。
男女ともにピークを超えると、徐々に必要量が減ります。やはり、代謝や合成に関わる栄養素ですので、成長期に多くを必要とします。また、全年齢を見ると、女性よりも男性の方が必要量は多いです。
ナイアシンの摂取の注意点
ナイアシンは通常の食事をしていれば欠乏症の心配はありません。しかし、アルコールの多飲など慢性的な欠乏状態に陥ると、皮膚炎・下痢・精神神経障害を引き起こすペラグラの症状が起こる可能性があります。
過剰摂取により、血管拡張、下痢や嘔吐、消化管の疾患が起きる可能性があります。ナイアシンは1型糖尿病や脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることもあるので、治療薬を服用している人は過剰摂取にならないよう注意が必要です。
まとめ
ナイアシンは水溶性のビタミンで、体内で様々な働きをしてくれる栄養素です。また、メンタルにも大きな影響を及ぼす栄養素でもあります。ナイアシンは多くの食材に含まれており、特に魚やレバーなどに豊富です。摂取量は年齢や性別によって異なりますが、過剰摂取や不足に注意しましょう。
ナイアシンのサプリメントは、食事から十分に摂取できない場合や医師から勧められた場合に利用することができますが、過剰摂取には注意しましょう。耐容上限量を超えると健康障害を引き起こす可能性があります。
サプリメントは食品ではなく医薬品として扱われる場合もありますので、購入前に成分表示や注意事項をよく確認しましょう。
ナイアシンのサプリメントを利用する場合は自分の体質や目的に合わせて適切な形態と量のサプリメントを選び、医師の指導のもとで摂取しましょう。
参照: (1) ナイアシン|栄養素カレッジ|大塚製薬. https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/niacin.html.
(2) 栄養の基本を知ろう! 栄養教養学部|栄養素カレッジ|大塚製薬. https://www.otsuka.co.jp/college/nutrients/.